「仏の里」として知られる大分県豊後高田市では、平安時代~江戸時代にかけて数多くの仏像が造られてきました。とりわけ六郷満山文化の盛期とされる平安時代後期に造立された木彫仏が各地に所在しています。その中から太郎天(長安寺)や大威徳明王像(真木大堂)など主な仏像を厳選して紹介するパンフレットを作成しました。
豊後高田市役所の各庁舎(高田・真玉・香々地)などで配布しているほか、PDF版も公開しています。ぜひ、パンフレットを片手に、参拝しながら観察してみてください。
また、紅葉シーズンであるこの時期、国東半島の各所でも色づいてきていますので、紅葉狩りや散策のお供にもどうぞ!
日本遺産くにさきにも登場する寺院の仏像(一部)
木造大威徳明王像(国指定)
真木大堂に安置されている平安仏の1つです。水牛に跨り、6つの顔と6本の手足で忿怒相に表しています。
像高241cmで大威徳明王としては国内最大を誇るその像は、戦勝を祈る仏として信仰されるとともに、牛は古くから農業に使われてきたこともあり、家畜の健康や豊作を祈る対象にもなっています。
真木大堂には、大威徳明王像を含め、国重要文化財に指定されている仏像が合計9躯も残されています。
木造阿弥陀如来立像(国指定)
伝統行事「修正鬼会」の舞台・天念寺の御山の岩窟「小両子岩屋」に旧在し、現在は隣接の「鬼会の里歴史資料館」で展示されています。
像高198cmの尊大な立ち姿を榧の一木から彫り出しており、後頭部と背中から大きく内刳りを施す古い形式で作られています。説法印という阿弥陀如来にしては珍しい印相を結んでいるのが特徴です。
木造阿弥陀如来坐像(国指定)
国宝・富貴寺大堂の須弥壇の中心に坐し、平安貴族の極楽浄土へのあこがれの念を今に伝えるその御姿を拝もうと、千年近く経った今でも多くの方々が参拝しています。
心を平静にたもつ定印を結んで、結跏趺坐(※)しており、ふくよかな丸顔をしているその表情は慈悲に満ちています。
※結跏趺坐(けっかふざ)…両脚を組み、左右の足の甲を反対側の腿の上に乗せる座り方。
木造太郎天及二童子立像(国指定)
西国東最高峰の屋山の中腹に位置する長安寺所蔵の仏像。三尊とも榧材の一木造。
太郎天の胎内には不動明王を表す種字「カーン」や不動明王に関する墨書きもあることから、不動明王の化身として制作され、祀られていたことを表しています。不動明王は忿怒の形相をしたものが一般的ですが、太郎天は柔和な優しい顔をしています。
本ホームページの「構成文化財」カテゴリーにも登場しています。
「ぶんごたかだ文化財ライブラリー」シリーズのバックナンバー
「ぶんごたかだ文化財ライブラリー」では、豊後高田市内の文化財をテーマ毎に取り上げて分かりやすく紹介しています。ぜひお読みください。
◆「ぶんごたかだ文化財ライブラリー」一覧
Vol.1『豊後高田の城跡』 平成31年 3月刊行
Vol.2『豊後高田の磨崖仏』 令和 2年 2月刊行
Vol.3『豊後高田の古墳』 令和 2年12月刊行
Vol.4『豊後高田の仏像十選』 令和 3年11月刊行 ≪新刊≫